皆様は普段から、健康に関する専門家として、患者さんに対するアドバイスや治療において社会貢献をされておられることだと考えます。 私自身、1993年に自らの被害から「シックハウス症候群」と命名し、13年間かけて、国や医師会や建築学会の先生方、さまざまな企業の技術者と一緒に研究し、2003年の「建築基準法改正」による化学物質規制に至ることができました。 「ある程度化学物質の汚染による被害は、規制等によって減ってきているのに、同じく健康に対する問題があるカビ等が原因と思われる原因に対する対策がなされていない。」「建築関係者はカビの原因となる湿度コントロールは出来ないのか?」 これは2006年に、厚生労働科学研究班長の岸玲子先生と、国土交通省の関係者をゲストに、日本経済新聞社主催の日本最大の建材関係のイベント「建築・建材展2006」で私が受け持ったセミナーでの岸先生のお言葉でした。 |
大阪府保険医協同組合 理事 NPOシックハウスを考える会 理事長 上原 裕之 |
その場に居合わせた、国の省エネ基準作成の中心である東京大学 坂本雄三建築学教授は「湿度コントロールは可能だが、どの程度の湿度が健康に良いかは医学側の出すべき内容。」と答えられ、それをきっかけに、医学と建築学の専門家による研究会「安全な住環境に関する研究会を立ち上げました。
私が、発起人事務局長で上記坂本教授、関西医科大学 原一郎名誉教授を研究リーダー、杉田隆博中央労働災害防止協会大阪センター長を顧問に関西電力、大阪ガス、ミサワホーム、三洋ホームズ、シャノン、スミノエ、ケイエルハウジング、大阪府保険医協同組合等の日本を代表する一線の医師、技術者が集まり、その立ち上げ総会には、国土交通、厚生労働、農水、文部科学、経済産業省からも出席者がありました。
その研究会が中心となり、内閣府の都市再生調査費を利用して行った、バブルのころのメーカー住宅と、我々が理想とする(天然素材と先端素材を組み合わせ、化学物質は言うまでもなく、温度、湿度、カビ、ダニまで対応)モデル住宅との比較を皆さんに提供します。ヒートショックで亡くなる方は風呂場だけで年間1万4千人以上といわれ、今年の2月にはこの分野の専門家の准教授と私で、大阪府医師会のセミナーで情報提供もさせていただきました。
国も、我々の考えに理解を示し、本当に健康的な住宅とは「化学物質に偏った住宅」ではなく、「化学物質は言うまでもなく、温度湿度、カビ、ダニ対策などバランスをとれた住宅」と理解し、そのための研究も進めるようです。
皆様が家を購入される際は、このような点も視野に入れて検討されることをお勧めします。また、温度だけでなく、旧住宅と新住宅の、温度、湿度、カビ、ダニの比較、入居者の体調の変化の比較を含めた「都市再生調査報告書(約170P)」で勉強を希望される方は、無料で差し上げますので、保険医協同組合に請求下さい。
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モデル住宅 |
在来住宅 |
空調・採暖 方式 |
全館換気空調システム による連続運転 |
ルームエアコンによる間欠空調 + ガスファンヒータによる採暖 (朝や外気温の低い時に併用) |
生活の変化 |
裸足で歩いても安心であり快適となった |
風邪をひかないための対応が必要となり精神的なストレスを感じた。 (昼間)
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測定結果 |
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(1) | 最新の断熱技術と空調設備を導入したモデル住宅の温熱環境を、実態調査と、築20年の在来住宅の比較測定により明らかにした。 |
● | モデル住宅は、室間温度差、上下温度差、共に非常に小さいことが示された。 |
● | 掃き出し窓下部に極めて局所的な低温の部位の存在が確認されたが、これは全体空調機器の給排気バランスの影響によると考えられる。ただし、この低温部が居住者に作用することはほとんどないことも確認された。 |
(2) | 水蒸気透過型の高発泡プラスチック断熱材は、内部空隙において吸放湿していることが示された。特に屋根部において、野地板が工事途中の降雨により含水した場合、断熱材施工直後は外気側の低温放射による高湿化が懸念されるが、モデル住宅のように、暖房に水蒸気発生を伴わないシステムを採用する場合は、屋内空間に徐々に排湿され、含水率は低下するため、居住時には大きな問題に発展することはないといえる。 |
(3) |
これに対し、築20年の在来住宅では、暖房時の上下温度差が15℃近くあり、実質的には空間全体を加温することは不可能な状態であることが確認された。 「人を直接暖める」採暖方式に頼らざるを得ないが、足元などの局所的な低温部や室間の大きな温度差がヒートショック等、人体健康性に直接作用することが懸念され、なんらかの対策を講じる必要性が示唆された。 |
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