人の健康のために住環境を改善することと地球の環境負担を低減することは実は密接なつながりがあります。 医療に関わる立場の医師が患者・従業員のために医院の住環境を見直すことは非常に大きな社会貢献の一貫といえます。 生涯健康・生涯現役社会を実現するための新しい住宅。地域モデルをめざして大阪府保険医協同組合やNPO「シックハウスを考える会」も共同してこの問題を考えていきたいと思います。
「交通事故で亡くなる人よりも風呂場で亡くなる人の方が2倍以上であるということをご存知ですか?」 下記グラフをご覧ください。季節における死亡者の統計です。当然冬場は、乾燥し、感染しやすいこともあるでしょう。しかし、同時に年間に交通事故の死亡者は6千人を切りましたが、入浴中のヒートショックで亡くなる方が年間1万4千人、(財団法人東京救急協会『平成12年度入浴事故防止対策調査委員会研究委員会』による推定数)という報告もあります。 |
大阪府保険医協同組合 理事 NPOシックハウスを考える会 理事長 上原 裕之 |
この統計を真剣に考えられた方は少ないと思いますが、本当は重要な意味があります。
「交通事故は他人による被害を避けることが、困難ですが、住宅内の温度変化による要因は、本人が自覚するか医師側で指摘してあげることで防げる可能性がある。」ということです。また、室内の温度差をなくすことは、すなはち冷暖房のコストを下げる「省エネ」つまり地球温暖化対策になるのです。
そこで、私は、国、産業界、マスコミ、日本生協連合会の枠を超えて居住者の「健康」と「省エネ」は表裏一体であることを国民全体にアピールすることにしました。
今の住宅産業は、本格的な医学の現場と一緒に国民合意可能な調査研究や対策においては必ずしも積極的とは言えません。「根拠が十分でない、投資も少ない売るための健康」に関しては積極的な傾向があります。
そこで、大阪府保険医協同組合は安全な住環境に関する研究会(東京大学 建築学坂本雄三教授、原一郎関西医大名誉教授研究リーダー、中央労働災害防止協会大阪センター長 杉田隆博顧問、関西電力、大阪ガス、三洋ホームズ、シャノン、クリナップ、ダイヤ分析センターその他)の協力を得て、協同組合、大阪府保険医協会、大阪府歯科保険医協会の幹部の皆さんの病院、診療所の調査を行うことにしました。
このことで、得られる健康に対するメリット以外に最大のメリットは、改修を行うコストを今の断熱不足の建物に使っている年間エネルギーコストの削減によって穴埋めできる可能性があることです。
患者や従業員が健康的な環境になるコストが、省エネによるエネルギーコスト削減で実現できれば、先生方だけでなく地球環境や日本のエネルギー問題にも先生方が貢献することになります。このような運動は医療にかかわる先生方を会員に有する大阪府保険医協会でしかできない社会貢献であるともいえます。
保険医協会の幹部にかかわらず、年間数100万、数千万の光熱費をお使いの病院をお持ちの先生方はぜひご相談ください。調査費用は無料で行います。また希望される先生に対してのみ改修に関するデザインや費用に関しても提案をいたします。
地球温暖化、及び資源の乏しい日本におけるエネルギー問題は日本社会にとって大変な問題です。このような問題に先生方や保険医協同組合、研究会が協力することで結果として社会貢献が可能となります。
また、詳しいお話しが聞きたい先生がおられましたら、協同組合までご連絡ください。
国土交通省も、住宅と健康に関する研究会(左図参照)を発足させ、「安全な住環境に関する研究会」から2名の委員が参加しています。
NPOシックハウスを考える会
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